「犬は、待ってる・・・」

人に飼われた犬ほど、悲しい動物はいないかもしれません・・・。

ここで、ネコ好きなフリーのカメラマン、太田康介さんの撮影した写真集「のこされた動物たち」(飛鳥新社)の一部を紹介したいと思います。

太田康介さんはこの写真集で、福島20キロ圏内で生きる動物たちの真実の姿を切り取り、その垣間見えた瞬間の「今」を伝えてくれています。

太田さんの撮影した写真に、ある家の前で佇む、1匹の白い犬の写真があります。

元は白かったであろう白いフサフサの毛は、汚れて黒く身体に貼り付き、パサパサに乾いています。
キリリと口を結び、顔付きは緊張した面持ち。

太田さんはこの犬を何度か見かけているそうで、この犬の事をよく知っていました。

首輪は付いているものの鎖は付いておらず、どこへでもいけるはずなのに、いつもいる定位置は、自分の家の「塀の下」と決まっていたそうです。

人や車が近づくと耳をピンと立てて坂の下へ駆け下り、1歩手前で立ち止まり、飼い主かどうかを確認する、違うと分かると、ガッカリしたようにうな垂れて、トボトボと家の方に歩いていくことを繰り返すのだそうです・・・。

「犬は、待ってるんですよね。いつか自分を迎えに来てくれる、そう信じてるんですよ」

文中で、ポツリと呟かれた言葉が印象的で、胸に刺さりました・・・。

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