殺処分は是か非か?
「避難指示」で、人のいなくなった町。
糞尿にまみれ、食べる餌も、飲み水さえない畜舎。
逃げ場のない場所で、死へのカウントダウンを数える動物たち。
「牛を見殺しにはできない・・・」
そう奮闘する畜主さんがいる一方、捨て置かれる畜舎もまた、少なくはありません。
津波を逃れ、せっかく助かっても、失われていく命が、そこにはあります。
「家畜は、産まれた時から悲しい生き物・・・」
寂しそうに、そう言った畜主さんの声が蘇ります・・・。
人間の食肉になるべく、産まされ、育てられ、殺される。
まさに家畜の、悲しい性です。
人が家畜を「生きる糧」にする行為、そのものを批判するつもりはありません。
生きていくためには、それもまた避けられないことです。
私も、牛や豚、鶏の肉を食べます。
ここで正義を振りかざし、動物愛護の精神を高らかに唱えるつもりはありません。
しかし行政は、福島20キロ圏内の家畜を一斉に「殺処分」することを決めたのです。
殺処分・・・重い響きだと思います。
人が生きるための糧とする処理。
健康に生きられる命を無理やり奪う殺戮。
殺処分は是か非か?・・・難しい問題です。