取材にて
震災から15日以上経った3月末。
福島20キロ圏内は未だ予断の許さない中、あるテレビ局のメディアが当時の状況をニュースで報道した動画があります。
海が見えるほど近くの海岸で撮影された映像には1匹の犬・・・いえ、よく見ると、もう1匹、犬らしき動物が映し出されていました。
犬らしき、という言い方をしたのは、その動物がすぐに、はっきりと「犬」と判断出来なかったからです。
取材したスタッフさんの車が近づくと、1匹の中型犬は威嚇するようなしぐさを見せます。
その傍らにいる犬(?)は全く動きません。
その距離100m。
スタッフさんが心配して声を掛けると、僅かに頭を持ち上げましたが、すぐにまたぐったりとしてしまいます。
一緒に飼われていた犬でしょうか?
どちらの犬も身体はぐっしょりと濡れて、かなり衰弱しているようでした。
震災の波を被り、かなり怖い思いをしたのでしょう。
人に対して全く心を開いてはいません。
「お腹は空いている、餌は欲しい。けれど近くに来てほしくはない!」
そんな感じです。
スタッフさんたちは、自分たちの食べたお弁当をその2匹の犬のために、そっと置いて、その場を後にしました。
震災当時の天候は、まだ雪が残る、荒れた天気。
カメラを構えるスタッフさんも、状況を伝えるスタッフさんも、涙をこらえるかのように声を震わせていました・・・。
過酷な状況の中、ペットたちは互いを励まし合いながら、必死に生きていたのでしょう。
その後、2匹の犬が無事に生き延びれたかは分かりません。
震災で被害を受けた被災者は、人間だけではないと、改めて感じた映像です・・・。