巨大な殺処分場
「放射能を浴びた牛は食肉にならない」
「食肉にならない家畜には利用価値がない」
これが、行政の下した判断の基準です。
「最期は、老衰自然死を望みます」
畜主さんの切実な願いが聞き入れられることはありませんでした・・・。
確かに、福島20キロ圏内の家畜は食肉にはならないでしょう。
それでもまだ、生きる力がある「命」です。
そして、その動物を守りたい、殺したくない、と願う人がいるのです!
せめて生きられる命は、そっとしておいてあげてほしい・・・そう願うことは、綺麗ごとにすぎないでしょうか?
その日、福島は「巨大な殺処分場」と化しました。
行政は、町を徘徊する牛やブタに狙いを定め、おびき出すための罠を仕掛けたのです。
お腹を空かせた牛やブタは、簡単に罠に近づきます。
入り口は広く、出口は狭く、身動きが取れないように・・・。
そして、牛が餌を食べるためのタライの上に、鈍い光を放つ刃物が備え付けられています。
そこで何が行われたのか・・・草むらに落ちた血だまりが、全てを物語っています。