ここでは生きられない・・・
震災から9か月が過ぎ、行政からようやく、正式な「ペット保護活動」が許可されました。
ただし条件は、飼い主から依頼要請がある、飼い主がいる前提のペットのみ。
しかも個人的なボランティアではなく、「ペット保護活動」を許可された、一部の団体による一斉保護に限る。活動期間は、1か月弱の期限付き・・・。
「たったそれだけの日数で、何匹のペットが保護できるの・・・?」
震災直後から、ペットレスキューを行っている中山ありこさんは落胆します。
それでもその結果は、中山さんにとって想定内だったのかもしれません。
以前にもましてパワフルに、中山さんは傷ついたペットたちの救出に力を注ぎます。
「お腹を空かせたペットたちに餌を与えるだけではダメ。線量の高い、この場所から連れ出さなければ・・・ここでは生きられない・・・」
中山さんは奮闘します。
「離された犬はまだいい、どこへでも行けるから。でも、狩りの仕方も知らずにぬくぬくと暮らしてきたネコは、飼い主だけが頼りの犬は・・・どうやって生きていけるの?」
繋がれたまま身動きがとれない犬や可愛いだけの小型犬、弱ったネコたちは、過酷な環境に順応して逞しく野生化した犬の餌になるのが世の常です。
「一度でも人に飼われたペットは、人と離れては暮らせない」
「野良ネコはもっと悲しい。ペットでも野生でもない動物は保護対象にもなれず、それでも人がいなければ生きられない。悲しい生き物・・・」
中山さんの中で、何かが弾けます。
原動力は「母性」だと、自嘲気味に中山さんが笑います・・・。